ゴブリン! ゴブリン!
5.ゴブの頭は弱いんだぞ


 さて、その頃プー姫は、見た事もない部屋に閉じ込められていました。


 プー姫が青いリン族のお姫様なのは伝わったらしく、あの痩せこけた精霊術師は、彼女とペーコちゃんの両手足を縛りつけ た上に、目隠しに猿轡という扱いでしたが、何処かに運ばせたらしいです。


 今はペーコちゃんとも別の部屋に閉じ込められています。木製の壁だという事を考慮すると、ここは少なくとも青いリン族の王宮ではなさそう。


(……私、どうなっちゃうんだわさ?)
 今からどういう扱いを受けるのか?それを考えると、プー姫は怖くて怖くて仕方がありません。
 まー、どっちにしても、このお姫様はゴブですからね。殴る蹴るはあっても、強姦はありえないでしょうが。


 いや、目隠しでもすれば……無理か。


 そして立場上、プー姫に折檻でもしたら、本当にゴブリン達との戦争勃発でしょう。人間もそれは望んでいないはず。
 ただ、人間はゴブ以上に好戦的ですからね。
 それをリン王からイヤになるくらい聞いているプー姫ですから、怖がるのも当然です。


(それ以上に、ここはダレ? 私はドコ?)
 ナイスなフィーリングボケをカマしつつ、プー姫は自分で自分に、びしっとノリツッコミ。
「それを言うなら、ここはドコ?私はダレ?でしょ!」
 バカみたいですが(いや、実際バカか)、プー姫はプー姫なりに、自分の気持ちを落ち着けているつもりなのです。
 視線を周囲に向けます。
 木製の壁に木製の家具。木で塞がれている窓の隙間から、篝火らしい明かりが覗いているところを見ると、どうやら外は夜なのでしょう。


(……ペーコはドコに連れて行かれただわさ?)
 確かに不安になるのは、親友でもあるペーコちゃんと離されているからでもあるでしょう。それにペーコちゃんはただの侍女です。プー姫の親友である事など、人間達には知る由もありません。


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