SilverBeast

帰還

 唯は心臓が張り裂けるかと思うくらい走った。

 仕事の後西條に抱かれ、体力的に疲労していたにも関わらず、唯は足を止めることなく走り続けた。


 それでも、さすがに目的地である家に着いたときは門に手を突き、肩を大きく揺らした。

 途切れ途切れに呼吸をしながら、携帯で時間を確認する。

 デジタルで表示された時計は、十二時を十分ほど過ぎていた。


 ある程度息が整うと、唯は少し歩きドアの取っ手に手をかけた。



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