SilverBeast

約束

 ウェルベントはひたすら走った。

 目的地があるわけではないのに、アリアが何処にいるのかも分からないのに走った。


 雨に打たれ、風にも打たれ、前もよく見えない。

 何処をどう走ったのかも分からなかったのに、たどり着いたのはいつも彼女と会うクローバーの草原。

 夕方ということもあり、雨雲に隠れた日は光を与えてはくれない。

 僅かに周囲の様子が分かるくらいで、ほとんど闇と変わりなかった。


 いつもとはまったく雰囲気の違う草原。


 その様子に、ウェルベントの不安はさらに掻き立てられた。



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