SilverBeast
子犬
人間、習慣づいたものはなかなか取れるわけもなく……。
前日に何があろうともそれは変わらない。
そういうわけで、唯はいつものように七時に目が覚めた。
「……」
布団にくるまって寝ていた自分の胸元がはだけているのに気付いて、昨夜あったことを思い出す。
「……っ!」
恥ずかしいのか泣きたいのか怒りたいのか、全てが混ざりあって脳内の思考回路が大混線していた。
(何なのよ、もう!)
もともと答えの出ない考えをずっと悩むことが出来ない性格だ。
唯は勢い良くベッドから出て服を着、一階の洗面台で顔を洗い髪を一つに束ねた。
夏も終わりに差し掛かって、朝の空気は少し冷えている。
その凛とした空気に心もすっきりした気分になり、元気が出てきた。