SilverBeast

好き

 


 カランカロン…


「いらっしゃいませー!」


 入り口についている鐘が軽やかに鳴り、客が数名入ってくる。


 唯は客を席に案内した。

 今は七時少し前くらい。

 平日忙しいのは昼だけだ。


 夜である今は三組ほどしか客がいないため、ホールに出ているのは唯一人だった。



 先ほど来た客の注文料理も運び終わり、他の客も追加注文がなさそうで暇になる。

 ドリンクバーのグラスや氷も先ほど補充したばかり。


 やることがなくなると、途端にギンのことを思い出してしまう。

 昨夜のこと、今朝のこと。

 昨夜のことはもう吹っ切ったつもりでも、忘れることなど出来るわけが無い。


 でも今問題なのは今朝のキス……。



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