甘い花
「あ、なんか懐かしい」
鉢植えの花を見て、
幼馴染はそう言った。
いつの間にか、怒りはどこかに消えたらしい。
僕が話せば、相槌が返ってくる。
声だけじゃなく、表情でも。
夢とは違う、ちゃんとした会話。
話ながら、花の蜜を吸った。
夢の中で吸った、
どの花のものよりも、甘い。
本当は、薄甘いだけだと、
そう知っていたはずなのに。
もしもあの花の蜜を吸っていたなら、
同じ位、甘く感じたのだろうか。
そう思った理由も、
この花が甘い理由も、
僕はまだ知らない。


