ブラッククロス
城と馬車
気がついたら…。
ガタガタ!
凄い揺れで目が覚めたらノアが見下ろしていた。




「ちょっと、あの何を…。」





状況がわからない。とりあえず膝枕をされている。馬車の中にいるみたい…。





「なんだ?」






にっこりとし口答えはなしだと言われたような気がする。





「いえ、別に。」






体を起こそうとするも腕で押さえられ






「まだ寝ていろ。」





どうしようもなく、横になる。





この人は何を考えてるんだろう…。





外はまだ薄暗い。もう時朝方なのかな。どれくらい寝てたのかわからない。





「ローズ…。」





動かないで聞いた。
「なっ何?!」





「もう時城につく。あれは隠しておけ。それから俺がいいと言うまでしゃべるな離れるな。」





「わかった。」






「死にたくなければな…。だから…。」






ニヤリッとしたあとそのまま唇を塞がれる。





瞼が落ちる。






ずるいまた何かしたのね…。
意識はセピアの世界に落ちていく。






馬車の外は異様な風が吹いている。






「主が戻られた!」
ざわざわと人ならぬバンパイア達が集まる。






城にも届く異物の王の帰還。





「やつが…。戻ってきた…。」





「ネージュ様…。」





冷たく光るアイスブルーの瞳は広間の窓を割る。




「グラス…。」





「はい。承知しました。」





音もなく去る執事。




王は私だ…。




やつを消す。
それが私の成すべきことだ。





*******






「またここ?」





歩いても歩いても出口なんてないし。
今日はノアもいない。
そもそも「今日」は今日なのかもわからないんだから。
時間の感覚とか風さえもここにはない。
セピアの世界…。






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