【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
真実のアイツ
どれくらいぶりに琥珀に連絡を取るだろう。
毎日の忙しさを言い訳に琥珀に連絡をとることから逃げていた。
琥珀からの連絡を心待ちにしながらも自分から連絡をすることは避けていた。
それは琥珀の言葉を信じて待っていれば・・・というような自信とか可愛らしさとかそればかりではなかった。
過去を振り返らないと決めた翡翠ではあったが、琥珀と想いを確かめあったあの日から琥珀との距離関係を上手く掴めなくなっていた。
琥珀が大変な時期で忙しい毎日を過ごしていることを知っていて自分のわがままを押し付けられずにいた。
メールも電話も・・・ましては会いたいなんて琥珀の負担になることを言うのが怖かった。
面倒な女・・・ ウザい女・・・。
まだどこかで引きづり続ける過去。
それは翡翠自身も分かっていてそんな自分が大っ嫌いでもあった。
「あぁ―――――。」
翡翠は大声で叫んでいた。
いつもは静まり返っている翡翠の部屋の壁を翡翠の叫び声が反響する。
翡翠の手に握りしめられた携帯。
メールの文章を作成しては消去する。
真実を知りたい想いと真実を知ることへの恐怖心が交差する。
怒りと絶望感と恐怖と不安今の翡翠を取り巻く感情は負そのものだった。