【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
人を愛した記憶も・・・
裏切られた記憶も・・・
「別れよう。」
そんな言葉が聞こえたような・・・
気のせい・・・だよね・・・
翡翠は自分の耳に聞こえてきた言葉を疑い、そして否定した。
「孝之…なんて言ったの??」
もう一度確かめるように聞き返す翡翠の声はかすかに震えていた。
「話があるんだ」
孝之のその言葉に期待と未来を夢見てこの瞬間を迎えていた。
孝之の口から出た言葉は翡翠が考えていた言葉とは正反対で、素直に受け入れられずにいた。
「だっから、お前と結婚する気なんてないし、俺専務の娘さんと婚約決まりそうだから2度と俺の目の前に現れないでくれよ。」
めんどくさそうに髪をかき上げるしぐさ。
冷たい視線。
孝之の本気が伝わってくる。
冗談でしょう・・・
笑って言えたらどんなに楽だろう。
孝之との間に流れる空気がそうはさせてくれない。
「近いうちに両親のところに連れて行ってくれるっ言ってたよね??」
「連れて帰るよ。 おまえじゃないけどね。」
最終通告。
冷たく言い放つ孝之は自信に満ちていた。
翡翠と別れさえすれば出世、お金、名誉全てを手に入れられるのだから。
翡翠の期待はこっぱみじんに砕けた。
孝之との結婚を信じて疑わなかった。
孝之だって同じ想いだって思ってた。
「わたし、別れないよ。 」
「勝手に言ってろ!! そうそうお前都合よすぎるんだって。呼んだら飛んでくるし飯は作ってくれるし欲しいものは買ってくれるし、ただ利用はしやすいけど正直ウザい」
めんどくささを通り超えて怒りを感じている孝之の口調。
都合のいい女。
孝之にとって翡翠は彼女でもなんでもなかった。
「ウザいって何?? わたしはただ孝之のためにって一生懸命だったのに・・・」
「だから、そこがウザいくてキモいんだよ。 わかったら消えてくれる??」
冷めきった孝之の視線。
雨の交差点、運転席から降りたかと思ったら助手席のドアを開けて無言で降りろ!!と促す。
そこには、愛し合った記憶も、ふたりの未来もなくて。
すべて冷たい雨が洗い流してくれる。
孝之に愛されていた記憶も、重なり合った孝之の温もりも・・・