Love♡LDK

なんか心がモヤモヤした。

チャンネルを変えた。

そしたら今度は。

『元国民的アイドルグループ、Rainbowの桜井満奈さん。引退の次は破局報道です』

男性キャスターがそう言っていた。

“元”。

その単語がつけられただけなのに。

なんか苦しかった。

チャンネルを変えても、あたしと隼斗の話題で持ち切りだろうなぁ。

そう考えたあたしは、チャンネルを変えずにそのまま画面を見続けた。

すると、画面はいきなり切り替わった。

と思ったら。

画面には、ある人物が映し出された。

それは、





―――流川隼斗。





あたしが愛して“た”人だった。

彼の周りには、たくさんのマスコミがいる。

『別れた原因は?』
『桜井さんの引退について一言!』

マイクを押しつけられている。

これ、どこなんだろう?

寮にはマスコミは入れないから、寮ではない。

画面に映っている彼は、少し痩せて見えた。

ちゃんとご飯食べてるのかな・・・?

“もう好きじゃない”

そう決め込んだはずなのに。

どうしても彼を見るだけで、愛おしいという想いが溢れ出て来てしまう。

口を固く閉ざしてた隼斗はやがて、

『彼女の引退については何も知りません』

そう言った。

まるで人形のような、感情のない瞳で。

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