ヴァイブ
「そっか。してないか…。」

テーブルに並べた塩鮭とにらめっこをしてるのは
塩鮭がこんがり過ぎる程に焦げてるからだと思われる。

「なに…?」

「浮気してる、してないって用語は、恋人達の会話だよな。」

「はっ…?」

「そっか~。やっぱり七海は俺の彼女か。」

「あ…!?」


塩鮭の焦げを箸でつついてから私を見る。

「だれっ…!」

…が彼女なんだよ!?
って言いそうになったけど…


『素直になれ』

ー琴子の言葉ー



「しっ…仕方ないから…彼女になってやるよ。」

照れを隠す様に玲二の部屋に入ろうとすると

「七海!」

玲二が呼び止めた。

「何…?」

「飯、食わないの?それとも、どっかで食って来た?」

「いや…」

「じゃあ、食べよ。」

ニッコリ笑う玲二に

「うん。食べる。」

鞄をソファーに置いてから、
塩鮭が置いてある前のイスを引いた。

「ってか、コレ焦げ過ぎだからぁ…」

文句を言うと

「なぁ…魚焼き機ダメだわぁ。」

いかにも自分のせいではない。と言いたげだ。


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