ヴァイブ
お父さん
…ガタン

久しぶりの育った家。

夢中で走って、電車に乗って帰ってきた。

父と話す為に。


寝室だった部屋の前に立つ。

…寝室だった。
過去形なのは、母が出て行ってからは、物置にされていたから。

今ならその理由がわかる。

父は、母が違う男に抱かれた事実を思い出すのがイヤだったんだ。

だから、この部屋で寝る事を止めた。

自分の書斎に布団を引いて寝る様になったんだ。



あの時と、同じ角度で寝室の中を見た。

今は、暗くてほとんど何も見えないけれど
思い出ししまった記憶が映像となって
頭の中に流れた。


「やっぱり…思い出さない方がよかったな…。」

呟いてから、リビングへと向かった。



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