キレイをつくる保健室
【キレイ女子が輝くとき】

『アートブック』

【花崎ナミside】

あたしは、黒沢さんが手配してくれた黒いベンツで帰宅した。


手にはイチゴタルトの箱を持って。



「下川くんは?」


「疲れたのでしょう、眠ってしまわれまして」


黒沢さんは、おかしそうに笑った。


初めて見た、笑顔。


「……失礼いたしました」


そう言って、また笑い出す。気持ちは分かるけど。


ダボダボのズボンとシャツを着て寝てしまう、下川くんって。




笑える……。


「お宅には連絡しておきましたし、このまま泊まられても、かまいません」


それでは、と黒沢さんが渡してくれたのが、イチゴのタルト。



あたしが持って帰ったタルトはママに好評で。



「ナミちゃん、コレ、メチャおいしいよ」


こちらも小さな女の子みたいに、はしゃいでいた。


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