龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
待たない


それが子供の頃からのわたしの習慣。


誰も待たないし

何も期待しない

そうすれば裏切られる事もなければ、失望することもないもの。


だけど、圭吾さんはわたしにそれを許さない。


決してわたしの期待を裏切ったりしないと、態度で示してくれる。


そりゃあ圭吾さんだって失敗する時もあって、そんな時わたしは怒ったり拗ねたりすればいいらしい。


「変な人……」


わたしは抱えたクッションに向かって呟いた。


自分はいくら待たされても怒ったりしないくせに。


圭吾さんのプロポーズを受け入れたっていうのに、わたし達は未だにキスから先に進んでいない。


わたしが臆病だから


ああ、もう バカ志鶴! 

どうして他の女の子みたいに出来ないの?


圭吾さんに喜んでもらいたいのに


圭吾さんのことが大好きなのに



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