龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「うーん、研究内容が不透明なんだ」


え、ちょっと待って、ベルト外してる?

そこまでの刺激は求めちゃいないわ


わたしは慌ててまた目を伏せた。


「表向きは農産物の遺伝子研究所なんだけどね」


「表向き? 裏に何かあると思ってるの?」


「思ってる。極秘研究だから研究施設の半分以上を公開出来ないって、おかしくないか?」


「交渉決裂?」


「向こうにとってはね」


うつむいているわたしの視界に、圭吾さんの裸足のつま先が入ってきた。


「お待たせ、恥ずかしがり屋さん」


顔を上げると、圭吾さんが優しく微笑んでいた。


「恥ずかしがり屋なんかじゃないわよ」


「そう?」


圭吾さんは壁に両手をつくと、体を屈めてわたしにキスをした。


一瞬、驚いて逃げ出しそうになったけれど、何とか踏み止まった。

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