龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「それも、『美幸ちゃんって可愛いわよね。うちのバカ息子の誰にでもいいからお嫁に来てくれないかしら。順番から言ったら要よね』って言っただけ。僕がちょっと脚色して巧兄貴に教えたら、すっ飛んでった」


キレイな顔して、悪魔だわ……


「ねぇ、子供の頃は巧兄貴の事、好きだったじゃない。どうして離れていったの?」


「色々あるのよ。とにかくお節介はやめて!」

美幸は本気で怒っている。


「はいはい。でも、これだけは言っておく。兄貴はへこんでるよ」


「知ったこっちゃないわ」


「ステキ……」


美月、あんた何か妄想してる?


「やっぱ、王道は幼なじみですかね? ケンカ別れしたけど『お前じゃなきゃダメだ』みたいな。でも、彼女に妖しい美貌の同級生が迫ってくるんですよ。あっ、大野先輩ってそれっぽいかも」


「ついにわたしに百合疑惑?」

亜由美が笑った。


あれ? 亜由美、意外と面白がってる?


「わたしもそういう感じの恋愛したいです!」


「大輔くんに言えば?」


わたしがそう言うと、美月はキョトンとした。


「大ちゃんと恋愛にどんな関係があるんですか?」


「うちの一族の男って恋愛に関して呪われてるのかな」

悟くんがつぶやくように言った。

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