人魚姫は籠の中で。




キスが初めての私が、こんな上級者のキス耐えれるわけがない。


息が苦しくて、ヴィアンの胸をドンドン叩くけれど、離してくれる気配はなくて、


激しいキスに、目眩すら感じる。





「あっ…もっむ、り…」



そう言って、意識が遠のく私は、ヴィアンがさっきまでの妖しい笑みではなく、とても優しい笑みを向けてくれていたなんて、気付くこともできにくて。




「ふっ本当に飽きないな」


そう言って、セリティナの額にキスをするヴィアンに、


「ヴィアン様、手加減というものを御存知ですか?」


哀れんだような瞳を彼女に向けるのは彼の従者アイロ。


「覗き見か?」


「そんなこと恐れ多くて出来ませんよ。今来たところです」


それを聞くと、フッと笑い彼女を大切そうに抱え去っていくヴィアン。



「このまま平穏に過ぎればいいのでふが…」


主の後ろ姿を眺め、ポツリと呟いたアイロの言葉は暗闇に消えていった。











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