心の中で。
「ごめんね。あたし…好きな人がいるの。望みがあるとか、頑張りたいとか思ってるわけじゃないけど、ただその人を想っていたい。渡井君の気持ちは嬉しいけど、やっぱり部内っていうのもあるし………。お互い部活に専念しよう?」


これが、今のあたしの本当の気持ち。


「…わかった。本当は俺、わかってたんだ。美玲にその気がないってことくらい。」



そう言う渡井君の顔は、とても寂しげだった。


「だって、美玲いつまで経っても『渡井君』って呼ぶし。俺は美玲って呼んでんのにな!」


あたしは、何も言えなかった。


「今まで、ごめんな。俺……先行くから。」

歩き出す渡井君の背中は、夕日が当たってとても切なく見えた───。










ガタッ!


ふいに海の家の裏口が開く。


「……わ…わりぃ!聞くつもりじゃなくて……っ」


出てきたのは、さっきの人。
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