心の中で。
信じられない。

今…試合終わったの?

1点。

それだけ……だよ?



あたしは現状を受け止めることができなくて、ただ、黙って立ち尽くしていた。



コートの真ん中では、選手は上を見上げて涙を流していたり…膝をついている人もいた。


「……うっ…よく頑張った!ちょっと…いやかなり…悔しい……な。」


そんな中で、キャプテンの言葉。そして目に伝う涙が負けを実感させる。


佐野先輩も手と膝を床について、

「俺の……せいだ…なんで…………っっ」

そう言ってずっと顔を上げようとしなかった。




選手も、ベンチのみんなも、泣いていた。



………そっか…引退なんだ。

最後だったんだ。




気がつくとあたしも涙を流していた。

< 70 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop