君に落ちた奇跡
―夕方

「淋しいよぉ…
寒いよぉ…」

「お前が寄って来るから誰も来ないんだろ」

谷が腕を組んで近寄って来る。

それでなくても人は寄って来ないだろう。

だって今日はX'masの2日前だ…

街中ラヴラヴのカップルずくしだ。

「喧嘩も出来やしねーな」

煙草をふかしながら谷の頭を撫でる。

「朝夜は女より喧嘩?
オレより喧嘩と煙草が好きなのぉ?」

「お前…素面だよな?」

素面だと言うのを知って尋ねれば、ニカッと笑われる。

「心配しなくてもオレは女のコが好きだよ!
ほら、あの子みたいな感じの…」

谷がさしたのは、ポスターのアイドル…

「…へー…誰?」

「知らねーの? アイドルの
山田 ひかるちゃん!」

「興味ない」




この時、このポスターをみたのは偶然だったのだろうか…
< 2 / 26 >

この作品をシェア

pagetop