ストーカー
私は疑問を投げ掛けた。

「社内には確実に私達二人しかいなかった。それに、居たとしても、私達のファッションオフィスからは、他の部屋へ声が漏れないように防音ガラスになってるのよ。私達の話しを聞くなんて……」


「そこだよ。確かに誰もいなかった。だとすると…」


「盗聴機」
「盗聴機」

斎藤、岡田が同時に発する。


私は否定に入った。

「ちょっと待ってよ! もしかしたら本当に加地君は偶然その日に私に接したのかも…」


「吐かせてやればいい! あの不細工から」

斎藤が立ち上がる。


「ふぅ〜。気持ち良かった」

今更、紀山がバスルームから出てくる。

「あれっ? どしたの?」

ひょとんとした紀山を差占めに、男性陣は上着を羽織る。
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