僕は
第3章
     3
 丸一日が経ち、翌日の午後、東京拘置所に接見に行った。


 相手は殺人罪の嫌疑が掛かった女性である。


 僕が、


「法廷で無罪を勝ち取りましょう。大丈夫です。我が事務所には優秀な弁護士が多数いますから」


 と言うと、ガラス越しに、被疑者の女性が、


「先生、お願いいたします。私、殺してなんかいませんから。単に濡れ衣を着せられただけで」


 と涙声で言う。


「分かってます。木崎さんが無罪なのは承知してます。私も取調べを担当した警察官の調書を全部読みました。全くのでっち上げだと思います。任せてください。一刻も早く、拘置所からシャバに出して差し上げますから」


「ありがとうございます」


 木崎朱莉(あかり)という女性だった。

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