僕は
第33章
     33
 放火の容疑が掛けられて、今現在拘留中のクライアントは僕に弁護を頼んできた。


 つい先日、須山がお昼を誘ってくれたので、一緒に行ったとき、


「今度の刑事事件は君が担当しなさい。俺は脇で見守るから」


 と言われた。


 食事の席上で、である。


「分かりました」


 きっぱりと断言した。


 こういったことを曖昧にする気はない。


 ちゃんと言っておかないと、後々まずいことになるからだ。


 二言はないと思っている。


 そして掻き集めた資料を読み込む作業を続けるつもりでいた。


 食事を取り終わって、席を立ったとき、緊張感が体を走るのを覚える。
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