僕は
第36章
     36
 警視庁や所轄の新宿中央署から送られてくる資料をずっと読み続けていたから、昼間の時間は相当疲れる。


 夜になると、出前のうどんか蕎麦、ラーメンなどが届いていた。


 さすがに腹が減っているので食べる。


 しばらくの間、事務所にこもる日が続いた。


 運動不足になりがちだったが、これが刑事事件を引き受ける人間の実態である。


 疲労していたときは、いったん自宅に戻りたいと思うときもあったが、何せ仕事は立て込んでいたし、実際簡単には帰れない。


 そういったときはリラックスするため、部屋の中に静かな音楽を掛けていた。


 基本的に弁護士は司法試験を受けて合格し、事務所などに配属となる。


 開業する人間もいたのだが、極わずかだった。


 僕も一弁護人として頑張っている。


 特に今回の新宿での放火事件はどうしても弁護をやり遂げたい。
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