僕は
第41章
     41
 仕事の合間に江美が僕の個室を訪ねてくることがある。


 彼女は商法が専門だが、最近高階からもっと勉強するように言われて、自分なりに頑張っているようだ。


 だけど江美も人間である。


 疲れるときもあるだろう。


 特にイソ弁である以上、雑用などを中心とした仕事がずっと回ってくるのだし……。


 抱え込んでいる案件は互いに山ほどある。


 でもどうやら来月辺り、一息つけそうだった。


 ゆっくりとまではいかないが、まとまった日数旅行する程度で、お互い息抜きが出来るようだ。


 走り続けていたので、そろそろガス抜きした方がいい。


 川谷弁護士は所属する品川ボールディング法律所の刑法専門の弁護士たちを掻き集め、放火犯の野川を弁護して酌量の余地を残すために、必死で新証拠探しを行なうだろう。


 だけど第一審で死刑判決が出ている被告人が、第二審で減刑されることはまずないと思
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