双華姫~王の寵姫~
国の華
王が廊下を歩けば、その姿にホッと息をはき頭を垂れる者たちばかりだった。



そんな事に今まで気付かなかったのかと思うくらい・・・王を見てくれる人たちはいたのだ。



自分が殻に閉じこもっていただけで、那智以外にも本当はたくさんいたのかもしれない。



志高が必要だと・・・言ってくれる人たちが。




志高が一つの大きな室の前で止まる。



中にはたくさんの人たちのざわめきが聞こえる。




志高は那智の方を向くと、那智は大丈夫大丈夫と笑っている。




本来の那智はあまり緊張も、物おじもしないようで・・・・今も平然と前を見ている。




「行くか」



宴の日と同じように那智の手を引けば・・・今日は握り返してくれる。




そんな些細な事が今は嬉しかった。
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