それでも、まだ。
脱出と合流




―――――



『………。』



神田は地下牢に連れてこられてから、ずっと体を丸めて俯いていた。



神田がいる牢屋は例の狂気に満ちたSeakたちがいる牢よりもずっと奥に位置しており、ほとんど彼らの声は聞こえず、静寂な空間であった。明かりもあるのは数本の蝋燭だけであり、薄暗かった。




『…私の、せいで、みんなが。』



神田は消え入りそうな声で呟いた。ずっと泣いていたためか、声は掠れている。



事実は自分で知るしかないと思い、わずかな期待をこめて自分の意志で黒組織にやってきた。しかし、結果的にそれがセシアを救うどころか、危険な目に合わせようとしている。




神田の目は絶望にあふれていた。










『…どうしてそんなに泣いているんだい?』



神田の耳に、優しげな声が小さくだが、はっきりと届いた。


神田が表情を変えずにゆっくりと声のした隣の牢を見ると、奥に男性らしき人がいるのが見えた。暗くてよく見えないが、壁に両手が広げられてそれぞれ手錠で繋がれている。




『あなたは…?』



神田がそのままの姿勢で言うと、ハハッと少し笑う声が聞こえた。




『すまない、急に。でもあまりにも悲しそうに泣いているから気になってさ。僕はナージャ。とある組織の幹部をしているんだ。今はこんな有様だけどね。』




おどけて言う言葉に神田は記憶の糸をたどり、目を見開いた。…ナージャって確か…。




『ベルガさんの、弟さん…?』




『…おや、兄さんを知ってるのかい?君は一体…?』




向こうでも驚いた声が上がったのが聞こえて、初めて神田は姿勢を変えてズリズリと隣の牢の柵へと近づいた。




よくよく見るとナージャの体中には多くの生傷があり、とても痛々しくて、神田は思わず顔を顰めた。




『私は………』



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