それでも、まだ。


――ガバッ

『……っ!……あれ?』



目を覚まし起き上がると、辺りはいつもの自分の部屋とは違っていた。



『はぁ…はぁ…。』



辺りを見渡すと、時計が7時を指しているのが見えた。



…そっか。私は昨日いきなり
知らない所に来て、この組織にお世話になることになったんだっけ。


というか、自分はいつの間にベッドで寝たんだろうか。


足首にはしっかりとテーピングがしてあった。


セシアがしてくれたのだろうか。



『…夢じゃなかったんだ。』



そう1人で呟くと、部屋のドアが開く音がした。



『…ん?起きたのか。』



そこには昨日とは違い、普段着になったジルがいた。



『あ、おはようございます。』


そう言ってペこりと礼をすると、ジルも少し笑って


『ああ、おはよう。』


と返してくれた。

…やっぱりかっこいいや。

……いや何言ってんだ私!




『神田?どうした?』


『い、いやいや何でもないです、よ?』


『なんか疑問形になってるぞ。』


『そ、それより、結菜…じゃなくてセシア、さんは?』


『セシアは朝から仕事だ。……ときに神田、お前酷く汗をかいているぞ。』


『え?……あ。』



言われて気がついた。
枕にまで染みを作っている。



『ちょっと…悪い夢をみたからです。』


『……そうか。…風呂にでも入ってこい。着替えはセシアのを使えばいい。足は大丈夫か?』


『…はい、テーピングがしてあるので…。お言葉に甘えさせていただきます。』



夢について深く聞かれなかった
のは優しさだろう。


とりあえず自分でも体がべたついて嫌だったので、さっさとお風呂に入ることにした。


< 41 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop