それでも、まだ。


『あ、そうだ。』


レンは思い出したように声を上げた。



『どうしたんですか?』



書斎に行こうとしていた神田が振り向くと、レンは神田の方を見て
ニコニコと笑っていた。



『書斎もいいけどさ、たまには違う所に行きたくない?』



『違う所……?』



神田が首を傾げると、レンはそうそうと頷いた。



『今日の昼から修業場に行かない?』



『修業場…?あっ、ここの下の階にある場所のことですか?』



神田が床を指差すと、レンは嬉しそうに頷いた。



『幹部のみんなも昼から修業場に来るし、たまには、ね?真理ちゃんも普段のみんなの様子を見てみたいでしょ?』



レンが悪戯っ子のように言うのを見て、神田もクスリと笑った。



『はい!見てみたいです!…でも、私が行っていいんですか?』



『もちろんだよ〜。』


レンは皿洗いをし始めながら優しく答えた。


神田は嬉しくなって頬を緩めると、何かが割れた音がした。



――パリンっ


『…レンさん?今…。』


『ん?大丈夫だよ〜。気にしないで。』


――パリンっ



『いや…割れてませんか?』


『え?何が?』


――パリンっ


『その…皿が…。』


『よし!このくらいかな!』



――ガッシャーンッ




『『…………あ。』』




2人しかいない台所で、レンは一瞬で皿を7人分割ってしまい、1時間更に後片付けに追われる2人なのであった。



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