時を止めるキスを


ふたつの恋に反省をする最中、まるで3度目の正直のような出会いがあった。


それが、両極端に転ばず波長が合う、タカシその人。出会いは大学時代の友人が主催する合コンで、彼はその友人の勤務先の同僚だった。


連絡先の交換をしてからはふたりで会うようになり、気取らず適度に距離を置くタカシのことを自然と好きになっていた。


付き合うようになってからも態度は変わらず。必要以上に干渉はせず、互いのプライベートをほどほどに守りたい主義も同じ。


まさに願ったり叶ったりの恋に、私はようやく安らぎを見つけた気がした。


さらに身体の相性も良かったため、お互いにピッタリな相手を見つけられてラッキーだったねとよくベッド上で笑い合ったものだ。


余裕を持ったことで、私は浮かれて気づかなかったのかもしれない。……“自由と放置”の意味を履き違えていたことに。


< 64 / 97 >

この作品をシェア

pagetop