Blood Smell
『気持ちいい。
こんな風に撫でてもらうのは
何年振りだろう…。』


目を細めて
まどろんでいた狼だったが

やがて
スッと私から離れ


背を向けて歩き出した



「斎藤君?」


『もう…行くよ。』

「…。」


これが最後になると

なぜか
知っている気がした


『…どうせなら
もっと早く…中野さんに会いたかったな。』



「うん…。」


熱い何かがこみ上げて
鼻の奥がツン…と痛くなった


『じゃあね。

あ…桑折先生によろしく。

…幸せになってね?』



言い終わると

一瞬にして
視界が白い光に包まれた





< 269 / 303 >

この作品をシェア

pagetop