青春途上中〈4〉
「おせぇ」

「はぁ!?
ふざけんじゃねぇぞ!来ただけでも有難いと思え」

伊崎の前に傘を突き出してやると眉間に皺を寄せて不満な顔をしている。

何だ?と首を傾げる。

「帰らねぇのか?
持ってきてやったのに」

無言でいる伊崎の視線の方を見てみると他の彼女らしき女が彼氏だろう男に傘を渡していた。手を繋いで帰っていく。

これは考えたくはないが、まさかこれをしたかったか?

「………伊崎、帰るぞ」

無理矢理、手を握って引っ張って歩き出す。

伊崎は驚きはしたが、強く握り返してきた。



●end……………●




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