ただ今、政略結婚中!
「あ~ 気持ちいい」


バスタブの中で伸びをする。


ジャスミンの香りを胸いっぱい吸い込む。


その時、ハッとなった。


もしかしてこのバスオイルは彼女の?


隼人さんと親密な時間を過ごしたであろうこのバスルームが途端に嫌になる。


温まるのもそこそこに上がり、シャワーで泡を洗い流す。


そこで自分が泣いていることに気づく。


……どうして泣いているの?


……私、隼人さんが好きなんだ……。


そうでなければこのもやもやした気持ち、彼女を見て嫌な気がした気持ち、隼人さんに会うだけで胸が高鳴る気持ち。


好きじゃなかったらこんな風にならないはず……。


自分の気持ちに戸惑いながら、バスタオルを身体に巻きつけた。


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