ただ今、政略結婚中!
背が高く、がっしりと胸板の厚い外国人が近づいてくる。


わ、わ、わ、この人、見たことある。


誰だっけ?


あ!先月、麗香と観たアクションものの映画の敵役だった人だ。


目の前に立つその人は私をグレーの瞳で不思議そうに見ている。


『君もお客さんだね?入らないの?』


な、何を言っているのか……。


『エステルの客らしくないな……、日本人か、まあこんな所に突っ立っていないで中へ入ろうよ』


馴れ馴れしく私の肩に手を置いた彼は中へと誘導する。


入る勇気がなかったから、この人がいて良かったと思った。


でも、肩にずっと手が置かれているのが気に入らない。


玄関の呼び鈴も鳴らさずに入る彼。


中のにぎやかな感じでは、呼び鈴を鳴らしても聞こえないとは思うけれど……。


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