ただ今、政略結婚中!
男の触れた所を、赤みが取れなくなるくらいに強くこする。


隼人さんに触れられるのとでは大違いだ……。


あの男に触れられた感覚を思い出すと吐き気がした。


エステルと付き合っていても、彼女を愛していても、私は隼人さんが好きなんだ……。


認識した時、シャワールームのドアが突然開いた。


「きゃっ!」


身体を隠そうとしゃがむと、タオル地のバスローブが肩にかけられて、抱き上げられた。


「5分と言っただろう?10分経っている」


頭の上から聞こえる声は怒っている風ではなく、私の耳には優しく聞こえた。


隼人さんは私をベッドに降ろすと出て行った。


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