ただ今、政略結婚中!
エレベーターを降りると、ずいぶんと部屋から離れていることに気づいた。


「エレベーターって、他にもあったんですね」


「ああ。今のはプール利用者専用のものだ」


そう言っている間に部屋に近くなっていく。


近づくにつれ、心臓が暴れはじめる。


部屋に入ったら……。


「亜希?」


呼ばれる声で我に返った。


いつの間にか立ち止まって考えていた。


「は、はい」


部屋の前にいる隼人さんの元へ駆け寄った。


******


私は先にシャワーを浴びて、バルコニーに出ていた。


部屋に入った途端、テーブルに置かれていた隼人さんの携帯電話が鳴っていて話し始めたから。


仕事の話らしく、先にシャワーを浴びさせてもらった。


今、隼人さんはシャワールームにいる。


東京に住んでいる私は見たことがないほどの瞬く星を眺めていた。


ひとりになると、少しずつ冷静になっていく。


やっぱりはっきりさせなきゃダメ。


このままでは辛すぎるから。



< 304 / 566 >

この作品をシェア

pagetop