ただ今、政略結婚中!
震える指でページをめくると、本当にS不動産の御曹司、ニューヨーク在住のH・Sのイニシャルも載っていた。


その他にも容姿や学歴などが記載されていて、すぐに人物が特定できそうな文面だった。


隼人さんだといずれはわかってしまう……マスコミが放っておかないはずだから……。


どうしたらいいの?


私が隼人さんと別れなければ、この本は出版されてしまう……。


どうすれば……。


すっきりさせようと、頭を大きく何度も振ってみた。


とにかく落ち着いて考えよう。


本を持って立ち上がると、エステサロンを出た。


途中で隼人さんとばったり会わないように、周りを見ながらエレベーターに向かう。


傍から見たら、かなりの挙動不審者に見えるかも。


エレベーターに乗り込むと、壁に寄りかかりホッと息を吐く。


エステでさっぱりしたはずなのに、全身から汗が噴き出していた。


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