ただ今、政略結婚中!

歪んだ心

「気に入った?」


だんだんと太陽が海に溶け込むように沈み、夜の帳が降りると、頭の上で隼人さんの声がして、我に返った。


「うん。とっても……ありがとう。隼人さん。あんなに大きな太陽を見たのは初めてだったし、とてもきれいで感動……」


その先を続けられなかった。


涙腺が弱くなっているのか、涙が頬を濡らしたせいで。


「泣くほど感動してくれたのか。俺も亜希に感動だ。こんな純粋に育ってくれたのはご両親のおかげだな」


隼人さんの口から初めて両親が出て、目を見張った。


「結婚式の時は、ちゃんと話も出来なかったな。今度日本へ帰った時は、食事か旅行にでも行こうか」


そこまで両親のことを考えてくれた隼人さんの思いに、涙が止まらなくなる。


でも本当に……そんな時が来るのだろうか……。


「亜希、どうして泣く?」


ハンカチで涙を拭ってくれる隼人さんは珍しく困った顔をしていた。


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