ただ今、政略結婚中!
あの日、隼人さんは玄関で別れを告げると紫藤家の運転手付の車でひとり、ニューヨークへ戻ってしまった。


結婚式で疲れているだろうから、空港までの見送りはいらない。と夫らしいいたわりの言葉を家族の前で言って。


私たちが仲良くなったと思っているのだろう。


その場にいる者はニコニコとその言葉を真に受けていた。


私には彼が「お前と話をするのは面倒だから見送りには来るな」と聞こえた。


彼が結婚生活を送る気がないのなら、私もそのつもりで生活しようと思っている。


このままではいつか、結婚生活を送らないまま終わってしまうのではないかと考えてしまう。


だから、仕事をするのは自立への一歩だろう。


今日は結婚式にも来てくれた親友の麗香とランチの予定がある。


親友だから、突然の結婚に何かあると気づいているみたいだった。


聞かれれば話そうと思う。


麗香に話せばこれからのことをアドバイスしてくれるかもしれない。



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