ただ今、政略結婚中!
言葉が出ないまま、視界が徐々に涙でかすみ、歪んでいく。


「本当におっちょこちょいだな」


夢にまで見た人が立っていた。


「隼人さんっ!」


「待たせたな」


隼人さんが優しく微笑みながら両手を広げている。


胸の中に飛び込んだ。


真昼間で人通りも多いのに、そんなことは頭になく隼人さんに抱きつく。


「隼人さんっ」


これは私の白昼夢?


目の間に隼人さんがいるなんて信じられない。


「夢を見ているの?」


「これなら夢じゃないことがわかるだろう?」


頬に手がかかり、上を向かされると唇がふんわりと重なった。



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