ただ今、政略結婚中!
「ブタの置物……です……」


丸々と太ったピンクの可愛らしいブタの置物が入っていた。


隼人さん、私をブタだと言いたいのですか?


訳が分からない贈り物にあっけにとられる。


裕美さんも目が点になっている。


「あら……どうして警備員さんも付いてきたのかしら?」


義母が小首を傾げる。


「警備員が家まで来たんですか?母さん」


今まで傍観していた誠也さんが口を挟む。


「ええ、だからてっきり宝石かと思ったのよ」


そう言う義母は私にすまなそうな顔を向ける。


そんな期待があったから早く開けるように言ったんだ……。


「亜希さん、ちょっと見せて下さい」


誠也さんが断って、ブタの置物を手にする。


「あぁ……やっぱり、母さんの読みは当たっていますよ。ほら後ろが引き出しになっている」


誠也さんは尻尾を引っ張った。


そして私にそのままブタちゃんを返してくれる。


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