ただ今、政略結婚中!
まず目に入ったのは大きなベッド。


キングサイズ?深いダークブルーの光沢のあるサテンのシーツ。


寝室にはベッドしか置かれていなくて、その奥にバスルームがあると見当をつける。


散らかっていないんだ……リビングもきれいだったな。


ひとり暮らしの男性がここまできれいだと、余計に勘ぐってしまう。


疲れを感じて、ベッドの端にポスンと腰を下ろした。


バネが良いのか、身体が弾む。


「ベッドにもお金がかかっているんだわ……ん?なんだろう……」


ふと床に落ちている布切れが目に入った。


ベッドの下に半分入り込んでいる感じだ。


屈んで拾おうと手を伸ばした。


「えっ!」


その手が止まる。


それは女性のブラジャーだった。


「うそ……本当に恋人がいるんだ……」


麗香と話をした通りの展開になるかもと、頭によぎる。


真っ赤なブラジャーに私の方がドキドキしてくる。


拾うのもためらわれて、逃げるように寝室を後にした。


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