ヤンデレ彼氏に迷惑なほど愛されて


『ケビンッ、ケビンッ、たす、助けて!』


しわがれた女性の声が響いた。


ミナナにとっては誰だか分からなかったが。


「か、母さん……」

絞り出すように右の男が呟いた。体全体を使って動揺しているよう。


「き、貴様、母さんに何を……!」


『おとうさんっ、こわいよー!おとうさん、うわあああん!』


右の男が激昂する前に、彼のケータイからは別の声。今度は、小さな女の子だ。


「メイ、メイ……。む、娘をど、どうして!」


今度は左の男が震えていた。ミナナに向けられた銃が、右の男同様に彼に向く。


動きだけは制止したが、彼のケータイからはその後もいくつかの声、『助けて』という叫びが出てきた。


母、娘。妻、父。姉、息子、恩師、叔母。男たちにとっては、どれも覚えある声で。


< 92 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop