あたしの彼は『ヒドイ男』


無言のままカズの手が私の肌の上をすべる。
私の身体を知り尽くしたカズの指。
与えられる容赦のない刺激。

「んんっ……」

ぞくりと腰の辺りから走る微かな電流のような感覚。
声を漏らすのが恥ずかしくて必死に堪えていたはずが、気づけば勝手に背中が反り、粗い呼吸が唇から洩れる。
カズの身体の下で小さくもがきながらイヤイヤと首を横に振る私を見て、黒い髪の間からこちらを見下ろす切れ長の目が熱を帯びる。

「や……、カズ、ねぇ……ってば」

「なに?」

彼の指先一本に簡単に翻弄される私を、面白がるように笑う。
その態度が悔しくて、私は眉をひそめながらカズのことを睨んだ。

「カズ、私のこと、すき?」

「聞こえねぇ」

聞こえているクセに。
私の欲しい言葉を分かっているクセに。
はぐらかして誤魔化して、面白がってる。

そんな意地悪な男を見上げて、私はもう一度口を開く。

「だから、私のこと……」

「お前、うるさい」

人の言葉を遮って、うんざりしたような溜息をつきながら、ライオンが牙をむき、うるさい私の口を塞いだ。

カズはこうやって面倒なことがあると、すぐにキスをして押し倒す。
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