あたしの彼は『ヒドイ男』
 

そう思いながら、私に覆いかぶさるカズの耳に手を伸ばし、耳たぶを思いきりひっぱってやった。

「いてーよ」

不機嫌そうに顔を歪めたカズの表情よりも、視界に入った私の左手に、

「あ……っ!」

驚いて声をあげた。



いつの間にか私の左手の薬指にはまったダイヤの指輪。
お姫様のティアラみたいな可憐なデザインのそれは、私が雑誌を見て欲しいと言っていたあの指輪だ。

「……うそ」

「お前、気づくのおせーよ」


ヒドイ男が意地悪に笑って、私を乱暴に抱きながら、耳元に噛みつくようなキスをした。
カズの乱れた吐息とともに、私の鼓膜を震わせたのは、ずっとずっと聞きたかった言葉。


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「え、聞こえなかった。お願いカズ。もう一回言って?」

「あ? 聞こえねぇな」

そう言って、意地悪に笑う、あなたのことが、大好き。


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