カナリア鳴く空
電話越しで、優衣が私の名前を呼んだ。

「そうだけど、どうしたの?

何かあった?」

私はベッドのうえに腰を下ろした。

「今日もママが帰ってこないから、寂しくて電話をしたんです。

誠司さんも、お仕事終わったんですか?

お疲れ様です」

そう言った優衣に、
「ああ、ありがとう。

今からシャワーを浴びて寝るところだったんだ」

私は答えた。

「えっ…そう、だったんですか?

何か、お疲れのところをごめんなさい」

優衣の戸惑っている顔が、目に浮かんだ。
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