カナリア鳴く空
「誠司さん」

声をかけると、誠司さんは予想通り――いや、それ以上の驚いた顔をした。

「優衣…」

わたしがここにいるのが不思議だと言うように。

わたしがここにいるのがおかしいと言うように。

あまりにも予想以上の顔をするから、わたしは誠司さんの首に手を回した。

そしてあいさつするように、彼の唇を奪った。

誠司さんの唇は、媚薬――いや、毒と言った方が正しいかも知れない。

彼とキスしただけで、躰中に毒が回ったような気分になるから。

実際に体験したことないからわからないけど、毒が回ると言うことはたぶんそうなのかも知れない。
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