カナリア鳴く空
本当に、誠司さんはひどいんだから。

――続きは、帰ってから…な?

どこで焦らすことなんか覚えたんだか。

しかも帰ってからって。

「絶対に寝かせてやんないんだから」

焦らされた分だけ、覚悟して。

我慢された分だけ、わたしはひどいんだから。

暑い太陽が、ジリジリとわたしの肌を照らした。

もうすぐ夏も終わる。

大嫌いだった夏も、後少し。

誠司さんがいなかった夏も、後少し。

だから知らなかったの。

ママが裏で動いてたことなんて。
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