カナリア鳴く空
朝香は呆れたように息を吐くと、
「それにしても、私たちはやっぱり母娘ね。

同じ人を好きになっちゃうなんて、よくやるわ」
と、言った。

それから私に視線を向ける。

「ちゃんと、幸せにしてあげなさい」

朝香が言った。

「私のかわいい大事な娘を、幸せにしなさいよ?

不幸にしたら、絶対に許さないから」

言い終えると、朝香は私に背中を見せた。

よかったと思ったのと同時に、膝から崩れ落ちた。

「――かっこ悪いな…」

なんて呟くけど、私と優衣の仲を認めてもらえたことにホッとした。
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