カナリア鳴く空
そう思った時、
「ただいま」

玄関から誠司さんの声が聞こえた。

「えっ、ウソ?」

ドキッと、わたしの心臓が鳴った。

だって…誠司さん?

玄関の方に足を向かわせると、そこにいたのはやっぱり彼――誠司さんだった。


1つ屋根の下で暮らし始めてから何日か経っても、私はなれることができなかった。

誠司さんを見ると、ドキドキと心臓が鳴ってしまう。

その表情にも。

その仕草にも。

その言葉にも。

「――お父さん、なのにな…」

わたしは小さな声で呟いた。
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